富山県のシダ   By花じい    

タンゴワラビ(2008年11月29日シロヤマシダを変更)
Diplazium sacrosanctum Sa. Kurata, nom. nud
メシダ科 ノコギリシダ属

山地のやや湿った場所に生育する常緑性のシダですが、富山では真冬には枯れることが普通です。
やや暖地に片寄りますので、富山県ではまれなシダで、東部、南東部、西部で確認されています。
(ただしシロヤマシダとされているもののデータもあります)

長い間、富山県でシロヤマシダとされてきたものです。
しかしこれらは、タンゴワラビとしました。(2008年11月29日)
ただ、シロヤマシダとオニヒカゲワラビとの雑種起源(胞子は正常ですが)というのは、やはり違っているようです。
初めて見たとき、オニヒカゲワラビの感触はほとんどなかったのですが、当初は雑種起源のタンゴワラビとしておりました。

京都府のレッドデータブックによりますと、Diplazium sacrosanctum Sa. Kurata, nom. nud としています。
(光田先生のご見解ですね。)
私も、少なくともシロヤマシダそのものでは無いと思いますので、この扱いには「なるほど」と思いました。

シロヤマシダとタンゴワラビはどこが違うのか?
一般的には、裂片の切れ込みの深さであると言う方もおられますが、これはあてにならないようです。これを否定していただくと、大変理解がしやすくなりました。

では、どこが異なるのでしょうか。京都の光田先生に伺ったところ、タンゴワラビの方が、最下羽片の柄が長く、小羽片があまり長くならないとのことでした。(私の感じ方では、「小羽片の形が、基部そのものを除いて、根元から中部より上までの幅がほとんど変わらず(細い直方体的に)長く伸び、先端はすうっと細く長くなるのがシロヤマシダ」で、「ややずんぐりとした感じを受け、先端はシロヤマシダよりはきゅうっと早く細くなるのがタンゴワラビ」と言う感じです。)ちょうど私が採取した氷見産のものは鱗片の鋸歯といい、小羽片の形といい、最下羽片の柄の長いことが、タンゴワラビそのものと言えたので、これまでの疑問が氷解したのです。そして県内産のシロヤマシダとされている標本を富山市科学博物館、富山県中央植物園で調べたところ、全てこの形の小羽片で最下羽片の柄も長いことから、富山県内にはシロヤマシダは無いと判断しました。




2008年8月31日 朝日町のものです




2008年11月16日  ここから氷見のものの拡大です。これらは小羽片の形といい、鱗片の鋸歯といい、タンゴワラビそのものでした。
そして、他の産地のものも皆この小羽片の形をしていること、最下羽片の柄が長いことから、タンゴワラビだと判断いたしました。









この上の写真の鱗片の拡大です。鋸歯があるのが分かりますので、タンゴワラビです。



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